天井に届いた観葉植物よ、そのまま天井をぶち抜いてくれ
私の家にはずいぶんとノッポな観葉植物がいる。
何年経っても名前が覚えられないが、なかなかいい奴である。
最初は私の身長よりだいぶ低かった。
テレビの横にいつもいるそいつは、私が近くを通ると周囲に広げた細い葉を私の腕に当ててくるのだ。
大きな鉢に1本生えているそいつの身体はとても白くて細い。枝が出ているわけでもなく、ただてっぺんにはチンピラの頭のような葉が何枚も四方八方に生えている。
なんとも貧弱そうなやつだが、一度だって弱音を吐いたことがないのは私が唯一そいつのことを認めている点でもある。
鉢の土がまっしろになっているぐらいカラカラとしていても何も言わず、ただ水が流れてくるのをじっと待っている。
SかMかと言われたらMなのだろう。どうでもいいが。
何年経ったのかわからないが、私はその観葉植物と一緒に生活して長くなる。
気が付くとそいつは私の身長をとうに超え、今では天井にそのチンピラ頭がついてしまっているのである。
おれはまだ行ける。そう言っているようにチンピラの頭は窮屈そうに上へ上へと少しずつ伸びている気がする。
お前には無理、意味がない、失敗だ、諦めろ、何様だよ、、、
そんな心なしの言葉を受けて何かに挫折したやつは大勢いる
そんな中でもあいつは上へ伸びることを止めようとはしないのである。
例えどんな障害があろうともそのひょろい身体で進み続けているのである。
お前の頭が天井に当たっていたって問題ない。
そのまま天井をぶち抜いてくれ。
そんな想いで私は今もひっそりと水をそいつに流すのだ。