つんどくです。

知的好奇心と創造を、

【book_50】村上春樹『一人称単数』を読んで

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どうも、つんどくです。

 今回は7/18(土)発売の村上春樹 著「一人称単数」を読んでみたのでレビューします。

内容紹介

「一人称単数」とは世界のひとかけらを切り取る「単眼」のことだ。しかしその切り口が増えていけばいくほど、「単眼」はきりなく絡み合った「複眼」となる。そしてそこでは、私はもう私でなくなり、僕はもう僕でなくなっていく。そして、そう、あなたはもうあなたでなくなっていく。そこで何が起こり、何が起こらなかったのか?「一人称単数」の世界にようこそ。

(本書 帯より引用)

  • 定価 1500円+税
  • 235ページ
  • 短編小説集(8作)
  1. 石のまくらに
  2. クリーム
  3. チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ
  4. ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles
  5. 「ヤクルト・スワローズ詩集」
  6. 謝肉祭 (Carnaval)
  7. 品川猿の告白
  8. 一人称単数
📚おすすめな読者📚

 

  • 村上春樹さんの作品を読んでみたいけど長編は読めるか不安
  • 短編小説でおすすめ本を探している
  • 音楽、特にジャズやクラシックが好き

そこから出してくれない感覚を味わう

小説を読了した際に私の中で起こることは、その没入した世界からスッと現実に戻る感覚だ。

没入した世界がどういったものだったかを記憶したまま、今の世界に戻ってくるので余韻に浸りながら「あー面白かった」で終えることができる。

しかしこの短編小説集はどうだろうか?

各作品を読み終えた後にスッと現実に戻れる感覚が薄い気がする。

「あ、ここで終わりなんで退出する際はご自由にどうぞ~」

みたいな何とも言えない読了感なのだ。

オチがない?

現実世界に戻ったはいいが振り向くとまだ戻れますよー、な後味が残っている。

魅力的な女性

私は村上春樹さんの本をまだ4冊しか読んだことがありませんが、出てくる女性が毎回すごく魅力的。

あと出てくる男性が「私はごくごく普通の顔だ」みたいなこと言ってるけど普通の顔だったら女性とそんなにすぐ親しくなれるわけないだろ!と胸ぐらをつかんで1発ぶん殴ってやりたい気持ちにさせてくるあたりは、ああ、村上春樹さんの本だと感じるのもお決まりな気がしてならない。

中学で好きだった女の子がバンプにハマっていたので、TSUTAYAに行ってアルバムを片っ端からレンタルしたように、今度はジャズやお酒も嗜んでみようかと思ってしまうほどうらやましいのだ。

個人的に好きな作品

 先のtwitterでもつぶやいていた通り、私は「品川猿の告白」が面白かった。

いろいろな小説を読んでみたが、私の好きな小説の傾向が日常を舞台に非日常が当たり前に存在しているお話なのかもしれない。

いや、だって日本語が話せる猿というだけでもヤバいのに、好きな音楽がブルックナーの7番と言った瞬間、頭パーンしたよww


Bruckner Symphony No 7 Celibidache Münchner Philharmoniker Live Tokyo 18 Oct 1990

私が選ぶこの1文

 猿がガラス戸をがらがらと横に開けて風呂場に入ってきたのは、僕が三度目に湯につかっているときだった。その猿は低い声で「失礼します」と言って入ってきた。それが猿であることに気づくまでにしばらく時間がかかった。

(p.190 「品川猿の告白」より引用)

 私が読んで一番衝撃的というか、印象に残る一文は「品川猿の告白」から、品川猿さんの登場シーンです。

いや、失礼しますって、、、笑

もうこの、え?当たり前ですけど何か?みたいな感じでスッと入れてくる非日常が好きです。

まとめ

 いろいろ感想を述べてきましたが、村上春樹さんの世界へすぐに没入させてくれる作品はやっぱりまた読みたくなっちゃう魅力があるなと感じました。

とってもおすすめです。

それではまた次回!

目次前のページで猿がレコード盤に針を落とそうとしてる絵がめっちゃ好き!