つんどくです。

知的好奇心と創造を、

【book_52】集英社文庫編集部編『短編工場』

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どうも、つんどくです。

 スキマ時間で読んでいた短編工場を読了しましたのでレビューしていきたいと思います。

内容紹介

読んだその日から、ずっと忘れられないあの一編。思わずくすりとしてしまう、心が元気になるこの一編。本を読む喜びがページいっぱいに溢れるような、とっておきの物語たち。2000年代、「小説すばる」に掲載された短編作品から、とびきりの12編を集英社文庫編集部が厳選しました。人気作家たちの短編がこの1冊で楽しめる、贅沢なアンソロジーです。今までにない、極上の読書体験をあなたに。

(背表紙より引用)

価格 : 720円+税

ページ : 441ページ(全12編)

  1. かみさまの娘 / 桜木紫乃
  2. ゆがんだ子供 / 道尾秀介
  3. ここが青山 / 奥田英朗
  4. じごくゆきっ / 桜庭一樹
  5. 太陽のシール / 伊坂幸太郎
  6. チヨ子 / 宮部みゆき
  7. ふたりの名前 / 石田衣良
  8. 陽だまりの詩 / 乙一
  9. 金鵄のもとに / 浅田次郎
  10. しんちゃんの自転車 / 荻原 浩
  11. 川崎船 / 熊谷達也
  12. 約束 / 村山由佳
📚おすすめな読者📚

 

  • 短編集を読みたい
  • いろいろな作家さんの作品を読んでみたい
  • ナツイチ2020のブックバンドが欲しい
  • 読書を習慣にしたい

読書初心者に超おススメな短編集

今まで短編小説というものを読んだことが無かった私だが、読んでこなかったことを後悔するぐらい面白いし、飽きずにページが進む進む!

短編だとわかっているからか、読書中に気が付いたら他のコト考えてた~なんてこともなく30ページだろうが50ページだろうが集中して読むことができた。

それは短編という分量が少ないというだけではなく、作家さんが創る物語の魅力や面白さもまた読書の手を止めてくれないのだ。

あ、ちょっと時間あるから読もう。

そんなことを思って読み始めたら、中断するタイミングがなかなか見つからなくなるので注意してほしい。

私はこの贅沢な罠にハマってしまい、気が付いた時にはカップ麺を10分以上放置させてしまった。それでも美味しいのには変わりないが、、、

面白い短編小説集ということで是非自粛ムードの中で読書習慣をみにつけてみようとしている人にはぴったりではないだろうか?

個人的に好きだった物語

12編という数の物語を1冊にして読めるのだからこれほどの贅沢というのもそうそうお目にかかれない。

そしてどの物語にも共通しているのは、頭の中に映像として出てくるのである。

まるで物語を読み進めていく毎に映画を観ているような感覚と没入感が感じられた。

その中でも私が特に印象に残った物語が乙一さんの『陽だまりの詩』である。

とある男性が1体のアンドロイドを誕生させ、短い命の彼の世話をしてくれと頼まれる。自然に囲まれた家に案内されたアンドロイドは彼と共に時間を過ごしていく中で徐々に人間の感情へ近づいていく。アンドロイドは無事に彼の最後を見届けることができるのか?

死とは何か?愛とは何か?を疑問に持ちながら人間の感情に近づいていく様子がすごく綺麗な文章によって表現されていた。

人間にとっては、なんてことない風景や日常でも受け取る側が違えばこんなにも世界は良い方へと変わるのか、と感動というより衝撃に近い感覚を味わった。

私が選ぶこの1文

愛すれば愛するほど死の意味は重くなり喪失感は深くなる。愛と死は別ものではなく同じものの表と裏だった。

(p.241 『陽だまりの詩』より引用)

いやいや、ちょっと待ってくれよ乙一さん。

なんでこんなにシンプルで、純度100%みたいな弾丸で打ち抜いてくるんですか!?

どんだけの愛を経験すればこういった答えを生み出すことができるんですか!?

これじゃむしろ私が出来損ないのアンドロイドみたいじゃないですか!?

「アイ?ソレハ、サクランボ、トイウ͡コトデショウカ、、、?」

もう一回!って誰が大塚愛やねんっ!

まとめ

 最後の方でふざけましたけど、本書の方は本気で面白い1冊でした。

読んでて、この作家さん面白いな~と思ったらラッキーです。

その作家さんの他の作品もトライしてみたら良いと思います。

このように、お気に入りの作家さんを発掘するのも短編集の面白さなのかもしれません。

私は乙一さんの作品を今度探してみようかと思います。

ホラーあり、笑いあり、感動あり、といろいろな作家さんとその物語を読むことができるので是非手に取って読んでみてください。

とってもおすすめです!

それではまた次回!

ナツイチ付録のブックバンドで青色が欲しかったのに、店員さんにキョドったのか間違えて赤色と言ってしまいました。ピエン